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晴れ5
「点決めた子……こっちに親指立てた?」
今のやりとりは一瞬だったけど、当然颯太も気づく。僕らの背後を見て不思議そうにしている。
「なんでだろうね……誰にやったんだろ」
「……幽霊?」
「まさかぁ。きっと友人でもいたんだよ」
「まあ、だろうね」
幽霊だなんて、思わず笑ってしまう。
でも僕が相手だよなんて言えないから。
仁くんはとてもいい子だから颯太にも紹介したい。きっと仲良くなれると思う。
今度、機会を見つけて、紹介したい旨を伝えてみよう。
同級生にバレなければ問題ないかもしれない。
仁くんたちの勝利の声はそのうち止み、また最初のように整列した。そして審判の指示で礼。
「俺たちもそろそろ行こうか」
颯太が立ち上がってお尻の草を払う。僕もそれに倣った。そして颯太が歩き出す。
ちらりと仁くんに目を向けると軽く会釈をしてくれる。それにほんの小さく手を振って、颯太に続いた。
「次は颯太の試合だね。楽しみ」
「亜樹のために頑張ろうっと」
「もー、クラスのために、でしょ?」
「はーい。クラスのため、クラスのため」
「颯太ぁ〜」
適当にへらへら笑う颯太を、むーっと睨む。すると颯太は尖らせた唇にキスをしてきた。
「そ、颯太っ……!」
「怒る亜樹が可愛くて」
慌てて僕は周りに視線を巡らす。
颯太はこうやって隙あらば僕にこういうことをしてくる。しかも校内で。校内で!
何度怒っても、何を言っても、絶対にやめないんだ。
「大丈夫だって。俺が周りを確認せずにやってると思う?」
「……それは」
颯太は爽やかな笑顔を見せ
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