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のち曇り5

轟くんの呆れた顔。周りもやれやれといった様子だ。 俺らの関係は同じクラスの人にもう広まってしまっている。そもそも昨年とクラスメイトが殆ど変わらないから、知っていた人が多い。 まあ、亜樹は見ての通り天然だし、クラス内で隠す努力はしていない。 「大事にしなきゃいけない彼女だしね」 「相変わらずだなー恥ずかしげもなく。まあいいや。次も作戦通り頼む」 「おっけー」 審判が相手チームにボールを渡す。すぐさまコートに入れて試合再開だ。 カットに走ったチームメイトは届かなかった。 俺たちのゴールの方に相手チームは走っていく。みすみす点を入れさせたりはしない。 あっさり追いついた俺は、パスされたボールをカットする。 わああって周りから声が上がった。亜樹を見ると嬉しそうに拍手していた。それから隣の清水くんに興奮したように話しかける。 可愛いなぁ。 視線を戻すとゴールは目の前。手からボールを放てば、ネットが揺れた。 「おーっし! 間宮ナイス!」 「ナイスー!」 まあ、流石に二回目はくどいか。 だから今度はチームメイトのハイタッチや拳に答える。 「いい感じだな」 「だね」 轟くんの声に笑顔で返す。 こうして俺を中心に試合を進めていった。 点を取るのは俺。ボールを持つのも殆ど俺。カットするのも俺。 堅実に二点を重ねていく。

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