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急迫1

一組の教室はわいわいと騒がしい。 午前中の試合を終え、今は昼食の時間だ。 机と椅子を後ろに寄せて、みんなが床にお弁当を広げている。誰と近くに集まって座るかは分かれているけれど、仲良く全員で円を描いている。 「はぁー教室涼しいー」 「外も体育館も暑かったよね」 隣に座る凛くんが腕を頭上に伸ばす。確かに教室はクーラーが効いていて快適だ。 「暑さなんて練習で慣れっこだろ」 「でも涼しい方がいいでしょ〜」 轟くんの呆れ声に凛くんは答える。だらーっと轟くんにもたれかかって押し返されていた。 それから今度は逆側に顔を向ける。 颯太と清水くんと松村くんが座っているはず。 「あれ? 二人ともいない?」 「ん? なんかさっき出て行っちゃったけど……」 颯太も不思議そうに言う。 二人が座っていた場所にはお弁当箱が残されているだけだ。まだ一口も食べていないと思う。 「みんなー! トーナメント表見てきたぜー!」 するとバァンと大きな音を立て、松村くんが教室に入ってくる。 「うるせーよ、茂」 開け放たれたドアを、後ろからついてきた清水くんが静かに閉める。 「一組で残ってんのは三チームだったぜ! 半分だな!」 おお〜と言う声がパラパラ上がった。 なんとなく初戦敗退が多そうだという雰囲気できていたから、こんなに残るなど意外だ。でも午後からは試合が詰め詰めだし、残ったのは強いチームばかりだろう。 「バスケAとサッカーBが三試合目から! バレーBがシードだったから、初戦で午後イチだ!」 「バレーBの選手は時間気をつけろよー」 二人はそう言葉をしめて席に戻ってくる。 「亜樹はバレーBだよね」 「うん……」 「大丈夫だよ」 颯太は苦笑する。それから僕の頬を指先で撫でた。 颯太の言葉は心強い。それに信頼もできる。 でもやはり緊張するんだ。だって相手は優勝候補の三年十二組だ。絶対に経験者とか、怖い人とかいる。

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