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急迫7
「清水くんと対立してたんだよね」
「それで初めて喧嘩した」
「そして亜樹が久志さんのところに泊まった」
「ふふ、そんなこともあったね」
今思えば信じられないけれど、僕は清水くんのことが怖くて仕方なかったんだよなぁ。
当時は絶望ばかりだったけれど、今ではあのできごとがありがたい。だってあれがなければ清水くんと仲良くなれなかった。そうしたら颯太に拒絶された時、きっと立ち直れなかった。
「ほんと、懐かしいや」
「そうだね……」
清水くんの優しさには感謝してもしきれない。彼の言葉はいつも僕に力をくれる。
今日だって、本当は。
「亜樹? どうしたの?」
「え? なんでもないよ。あっ、凛くん」
「本当だ」
凛くんと轟くんが一緒に体育館に入ってくるのが見えた。二人は僕らの姿を見つけてこちらへやってくる。
「間に合った、間に合った」
「ちょっと焦ったんだよね〜」
「全然平気だよ」
「だな」
時計は試合開始時間の二十分前を示している。集合時間は十五分前だ。
凛くんは僕の手首を掴む。
「亜樹くん、行こ〜」
「うん」
「頑張れよ」
「頑張ってね」
「ありがと〜」
「うん、ありがとう」
二人に手を振ってコートに踏み入れる。
凛くんは僕の手首をぷらぷら振ってから離した。
やはりボディタッチが多い人だ。颯太も轟くんも、もはや気にしない。
「お〜相手選手おっきい」
「あ……」
凛くんの声につられて向かいのコートを見る。みんながみんな身長が高かった。しかも筋肉もしっかりある。
自分のチームを見てみる。
背が小さかったり、細かったり。
その時点で出遅れている。
でも凛くんはいつも通りふわふわ笑っていた。
別にそういう意味でないとわかっているけれど、なんだか勇気が出てくる。
身長が勝敗に直結するわけではないし。
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