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焦燥の熱さ8

ぼーっと二人のやりとりを眺めていると、スマホが通知音を鳴らす。 画面を見ると、仁くんだった。 『亜樹先輩! 今日はお疲れ様でした! 応援しにきてくれた時、本当にすごく嬉しくて、めちゃくちゃ頑張れましたよ!俺どうでした? かっこよかったですか?笑 亜樹先輩の試合も見に行けてよかったです! 先輩がボール打ち上げた時、感動しました!! 本当にお疲れ様です!今日はゆっくり休んでください!』 なんて仁くんらしい元気な文章だろう。 わざわざメッセージをくれるなんて嬉しい。しかも気遣いを忘れないし、本当にいい子だ。 『仁くんこそお疲れ様。仁くん、すごくサッカー上手だね。点決めたとき興奮した。かっこよかったよ〜 応援来てくれてありがとうね。嬉しかった。仁くんもちゃんと休んでね!お疲れ!』 手早く返事を返してスマホを置く。 後輩ができるだけではなく、メッセージのやり取りをできるなんて、未だに信じられないような気もする。でも嬉しい。 「なんか来たの?」 「うん。広告メール」 「そっか」 「たーかーちゃーん」 「小室くんまだ言ってる」 凛くんは轟くんの腰あたりに腕を回して、耳元で強請っている。 運動部だから体力ありそうなのに。でも凛くんはとても肌の色が白いし、元の体がか弱いのかもしれない。 僕も僕で弱々しい見た目と言われるけれど、肌の白さだけで見たら圧倒的に凛くんの方が弱々しい。庇護欲を掻き立てられるみたいな。 「あ! じゃあさ、小室がバスで、轟が走って追いかければいんじゃね!?」 「茂、それは流石に阿呆」 「たかちゃんならできそう」 「お前は俺をなんだと思ってるんだよ」 「たかちゃん〜」 迷うことなく言い切る凛くんに轟くんは盛大に溜め息を吐く。 「……わかったよ。じゃあ今日はバスな」 「やったー」 「小室の勝ちだな」 「えへ〜」 結局、轟くんは甘やかしちゃうみたいだ。本当に微笑ましい。 そのあとは自然とお開きになって、僕と颯太も一緒に帰ったのだった。

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