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群青色の迷彩1

コンコンッて窓を叩く音。なんだか、懐かしい。 これも既にやめてしまっている。効率が悪いっていうのが理由。別に窓に拘る必要も、もはやないよねって話が一致した。 レースカーテンを開ける。ガラスの向こうに颯太がいた。 目が合って、微笑む。 窓を開けた。 「おはよう」 「おはよう、颯太」 颯太が靴を脱いで僕の部屋に上がる。 一年前に戻ったみたいだ。初めてのデートの時も颯太は窓から入ってきて、驚かされたっけ。 そのデートは一年前のこの時期だ。懐かしい。柊先輩にまだ怯えていた頃。 「亜樹の部屋は見慣れたもんだけど、窓はすごく久々に感じる」 「そうだよね。今はもうドアからだもんね」 とりあえずダイニングに出る。そうはいっても向かうのは単に玄関だけれど。やはり効率の悪さは否めない。 ただこの行為のおかげで過去を愛しく思える。 歩いている際に何とは無しに颯太の手首を見る。その手首にキラリと光るもの。 「あ、してくれてる」 「こういう時しかつけられないからね。流石に学校ではまずい」 「指輪も普段は首だもんね」 颯太は僕がクリスマスにプレゼントした夜空のバングルをしてくれていた。男らしい手首によく映えている。 颯太はもう片方の手を僕に見えるように上げた。その薬指には指輪。 僕も左手をあげてみせた。 デートの時くらい、いいよね。 颯太と密やかに笑いあって、一緒に玄関を出た。

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