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群青色の迷彩6

「ごめんって。可愛いから俺はいいと思うよ」 「そうやって言えば許すと思ったら大間違い」 「でも嬉しいくせに」 「……否定はしないけど」 颯太は嬉しそうに微笑んだ。 颯太から貰う可愛いは好き。颯太から貰える言葉は何でも好き。 それに知っている。颯太はそうやってふざけながら、僕の方に傘を寄せてくれている。左肩はきっと僕より濡れている。 どこまでも紳士なんだから。男の僕に紳士になってどうするんだろう。女の子にやっていたら妬いちゃうけど。 「雨の中の紫陽花は、紫陽花って感じが増すね」 「ふふ、何それって言いたいところ。でもなんとなくわかる」 「でしょ?」 颯太の気遣いは無下にしたくないから何も言わない。 僕より何歩も先に行って考えるくせに、きちんと足並みを合わせてくれる。そういう優しい颯太が、やっぱり好きだ。 雨に濡れた道を肩を寄せ合って歩む。 これなら距離が近くてもおかしくないからラッキーかもしれない。 それに雨に濡れる紫陽花は、紫陽花の醍醐味という感じがする。颯太ではないけれど、これぞ紫陽花というか。 雨はあまり好きではない。蒸し暑いのも嫌い。でも、紫陽花は雨に降られるほど、美しさを増す。 「雨なのに嬉しいよね。不思議な花」 「囲まれていると、涼しい気もするしね」 「ね。来てよかった」 「うん」 僕と颯太は雨の中をゆっくり進んでいった。 そして紫陽花の群れを心ゆくまで楽しんだ。

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