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ショッピング4
「うん。ごめんね」
「謝らないで。仕方のないことだから。それにそういうところも可愛い」
「……ずるい」
敵わない。
颯太は頬を膨らませる僕を見ると、楽しそうに笑った。
「じゃあ撮ろっか」
そして腕を外して財布を取り出す。
颯太が使っている財布は年季の入ったものだ。結構、使い古されたというか、今にも朽ちそうというか。
颯太の爽やかな見た目には少々そぐわない。何を使おうが個人の自由ではあるけれど。
僕も自分の鞄から財布を取り出した。仲良く割り勘でお金を入れる。
すると甲高い女声が機械から聞こえ始める。
「んー……これでいっか」
颯太は画面をタッチして色々と決めているみたいだ。僕はよくわからないから大人しくしておく。
ピッピッて様々な選択をしたあと、『じゃあ今から撮影開始だよ!』という声が聞こえてきた。颯太は僕の立っている位置に戻ってくる。
「そういえば、エッチも亜樹が初めて」
「……へ!?」
カシャッ。
シャッター音が一回。
「あ、ちょ、今……?」
「うん。撮ったね」
「颯太のばかっ……」
「可愛いね」
「んっ」
颯太が唇を重ねる。
カシャッ。
再びシャッター音一回。
「そ、颯太……!」
怒って颯太を見てもニコニコと嬉しそう。でもこれって写真に撮られているのではないか。てことは残ってしまう。
僕の照れた顔とか、キスした時……とか。
「ほらほら、続き」
「え、あ……」
ご機嫌な颯太が顔を寄せて、頬が触れそうな距離になる。でもこれ以上何もする気はないようで、そのあとは普通に撮った。
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