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ショッピング5

写真を撮ったあと、落書きブース?というところでなんか色々した。でも僕にはよくわからなくて颯太に任せきり。 それに写真が恥ずかしくてあまり見ることができなかった。 そして落書きも終われば、あとは現像待ちだという。 プリクラ機の外に立って待つ。するとパサッて一枚の紙が落ちてきた。 「ふふ、亜樹可愛い」 「颯太のばか……」 颯太が取り出したそれを一緒に見る。しっかりさっきの写真も写っている。恥ずかしい。 颯太はハサミで半分に切ると片方を渡してくれた。 こんな恥ずかしい写真が残ったものなんて、すごく、すごく不服だけど、貰う。なんであれ颯太との思い出だし、ここに写る颯太もかっこいいし。 「ほら、ご飯食べに行こっか」 「……うん」 「ごめんね、亜樹〜」 「別に、いいもん」 「拗ねてる、可愛い」 颯太に促されてプリクラブースを出て、ゲームコーナーも出る。颯太はその間、僕のご機嫌とりに必死だ。 でもなぜか物凄く上機嫌な颯太。それでは逆効果だ。 僕が本当に怒っていないとわかっているから、不毛な会話とも取れるけれど。 「美味しいもの食べたい」 「うん。静かなお店選ぼうね」 颯太が頭をふわふわ撫でてくれる。流石に手は繋げないけど、これでも温かくて十分だ。 レストランの階に向かってエスカレーターに乗る。何回も乗って、たどり着いた八階。そこがレストランが並ぶ階だ。 「あ、亜樹。ちょっとトイレ行っていい?」 「うん。行ってらっしゃい」 颯太がそう断って近くのトイレに駆け込む。僕は邪魔にならない壁際で待つ。 レストラン街はいい匂いが漂ってくる。颯太と何を食べようか、なんて想像を膨らませてみる。 「あれ? 亜樹先輩?」

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