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ショッピング7

「亜樹、ただいま〜」 「颯太っ、おかえりなさい」 程なくして颯太が帰ってくる。今度は僕がパタパタ駆け寄る。 颯太には、犬みたいに見えているのかな、なんて一瞬考えてしまった。 「何食べたい?」 「んー颯太の食べたいものー」 「俺は亜樹の食べたいものー」 「ふふ、決まらないじゃん」 二人で笑いあってレストラン街を歩き出す。和洋中、様々なレストランが並んでいる。どれもこれも美味しそうだ。 でも気分的に和食かなぁ。あと外だから食べられるものとか。 「じゃあ俺が、亜樹の気になる店当てる」 「えー? できるの?」 「できるに決まってるじゃん。俺だよ?」 「何それ」 颯太は宣言するとレストランをぐるりと眺める。一つ一つのお店をよく見ながら歩いている。 そうしてレストラン街を通り抜けた。 僕が一番気になるお店はちゃんと決めた。 「よし、わかった」 「どこだった?」 「刺身のとこ!」 「わ! すごい、正解!」 「ほらね〜、亜樹のことならお見通し」 僕はパチパチ拍手をする。 確かに僕は蒸し暑いし涼しげなものがいい。それに外でしか食べられないし、なんて考えて刺身を選んでいた。 多分颯太は僕の視線とかも観察してたのだろう。あとは長い付き合いだし、自然と察したとか。 それでもすごいことに変わりはない。流石の颯太だ。 「じゃあ行こっか」 「うん」 颯太と一緒に来た道を戻って刺身を扱う飲食店に向かった。

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