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ショッピング8

店に入ると席に通され、手早く料理を決めて注文を済ませた。 僕も颯太もランチセット。決まった種類の刺身と、この時期限定の刺身一種類が盛られたものだ。 写真を見る限り美味しそうで、今から高揚してしまう。 「あ、そうだ。亜樹」 「ん?」 「一年記念のプレゼント」 颯太は美麗な笑顔とともに、スマートにプレゼントを渡してくる。 何かしらプレゼントはありそうだと予想はつけていた。しかしまさかこのタイミングで来るとは思っていなくて驚いてしまう。 「あ、わっ……ありがとう!」 「どういたしまして〜」 「えっと、僕もあるの」 慌ててガサガサ鞄を漁って、丁寧に包んだプレゼントを颯太に差し出す。 「ありがとう。開けていい?」 「うん。僕も開けるね」 「どうぞ」 しばしテーブルに袋を開ける音のみが響く。 オレンジ色のリボンを解いて、袋の口を開ける。手を入れて中に入ったものを取り出す。 「……わあ」 颯太がくれたのはパスケースだ。 前々から欲しいと思っていた。でも買おうとすると地味に高いから、財布やスマホのカード入れを使えばいいかと諦めていたのだ。 パスケースはパールグリーンに統一されている。淡い色が好きだから嬉しい。 リュックに取り付けることができるタイプで、何種類かのカードが入る。定期を入れたまま、改札をくぐることもできるみたいだ。 「ありがとう。颯太」 「俺もありがとう。財布欲しかったんだよね」 僕があげたのは財布。 形は颯太が普段使っているものと似たようなものを選んだ。 色は黒。颯太が持つと物凄くかっこいい。 「いつも使ってるのもう寿命来そうだったから」 「そうなんだよ。買い換えるタイミング逃してたの」 「よかった」 視線がぶつかって、微笑み合う。 こうやってお互いを想い合う関係って、幸せで、素敵だ。 「お待たせしました」 その時ちょうど料理が運ばれてきた。 お互い慌ててプレゼントをどける。 「美味しそうだね」 「うん」 また視線を合わせて微笑みあった。 こういう一瞬一瞬が、とても愛おしくてならなかった。

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