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ご褒美3
「……なにこれ?」
亜樹は案の定首を傾げる。
縦に伸ばした楕円形のシルエット。そこから伸びるコードは何やらスイッチに繋がっている。
もちろんこれはローター。奮発して三個買った。
ふと玩具を使ったことがないなと思い至り、ご褒美にかこつけてあげることにしたのだ。
「大人のおもちゃってやつ」
「大人のおもちゃ……?」
「うん」
「……わ」
ピンク色の玩具を小さな手に持つ亜樹をソファに押し倒す。
亜樹と密着するために小さめでもよかったのだけど、こういうこともあろうかとソファは大きいのを買っておいた。昔の俺の行動、褒めたい。
「こことか……」
「んっ」
するりと胸の突起をなぞる。
「こことか……」
「あッ……」
それから下半身の中心。
「ここに、使うための道具」
「ひぅ……」
最後に後孔。
律儀に毎回喘いでくれる亜樹が可愛い。でも亜樹はそのようなことを気にする余裕はないみたいだ。驚いたように俺を見て、さりげなく逃げ出そうとする。
まあ、俺が逃すはずもない。そもそも俺が上に乗っているから、亜樹が動けるわけもない。
「使っていい?」
「えっ、と……あんまり……」
「ダメ……かな」
「そ、そういうことは……颯太自身とがいい、というか……」
「そう……」
いくら鈍い亜樹でも気づく。持ち前の脳で機械の分析は済ませたはずだ。おそらく振動することくらいは予想済み。
俺が返事をして目を伏せると、亜樹は安堵したように体の力を抜いた。
「亜樹のために、買ったんだけどな」
「へ……」
「俺、これを亜樹に使って欲しくて、頑張って探したんだ」
「颯太……」
「本当に、ダメ?」
ここで引いたら九条の名折れだ。
交渉は粘り強く。
ごめん、九条。こんなところに使って。
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