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ご褒美9
一気に静まる部屋。
すると亜樹の泣き声が聞こえてきた。
「亜樹……ごめん、やりすぎた」
「……ばか、いじわる……」
両手で顔を覆って、すんすんと鼻を鳴らす。小さな嗚咽に胸が痛む。
これは本当に嫌だったみたいだ。確かに途中から俺、興奮しすぎて調子に乗ったし。
亜樹の後頭部に手を入れ、そっと抱き起こす。背中に腕を回して、強く抱きしめた。亜樹も泣きながら俺に抱きつく。
「ごめんね、嫌だったし、疲れたよね」
「……いじわる」
「うん。意地悪だった」
「……ばか」
「うん。馬鹿だった」
亜樹の不満に合わせて、ぽんぽんと背中を叩く。亜樹は気持ちよさそうに体の力を抜く。
俺のは未だに勃ちっぱなしだが、ここで挿れるのは最低ってものだろう。
「今日は終わりにしよっか。疲れたもんね」
「……やだ」
「え?」
「…………そうたの、欲しい……」
「亜樹……」
そんなこと言われたらまた無理させる。いくら理性が溶けた亜樹の願いでも、これは。
と思いつつ俺は再び亜樹を押し倒す。
こんな願い、そうそう聞けるものではない。
「亜樹……いいの?」
「颯太、イッてない……」
「いや、それはあとで処理するから、無理しなくても……」
「だめ……僕じゃなきゃ、や……」
上目遣い。潤んだ瞳。その言葉。
ズガンと脳に衝撃が走る。
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