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きよみずの清さ2

「亜樹先輩に本勧められるようになってから家の本見てみて、あれ、先輩の好きな作家だ〜と思って!」 「仁くんの家すごいね……!」 「両親が読書好きで。よければ貸しますよ?」 「え!本当に!?」 「はい。なんなら今から家来ます?」 仁くんはニコニコ笑顔で僕の手を取る。 興奮に染まった僕は仁くんの手を強く握り返す。 「うん……! 是非!」 「わかりました。じゃあこの本借りてから行きましょう!」 「うん!」 「亜樹先輩、嬉しそうな顔ですね」 上品に笑った仁くんはポンッと僕の頭を撫でた。そして僕の手から本を取っていく。 仁くんに頭を撫でられたのは初めてだ。そもそも普通は先輩から後輩にやるものではなかろうか。やはり身長の影響は大きい。 仁くんを追いかけながら、僕は密かに悔しさを覚える。 でもそれ以上にずっと探していた作品を読めることの期待が大きい。 しかも今日だなんて。 そのまま家に着いていって、借りて帰って、家でもう読める。 あらすじが僕好みのものなので、たとえ文章力がまだ足りなくとも、絶対に面白い。 「亜樹先輩〜、戻ってきてください」 「あっ、ごめん」 「ほら、行きましょう」 「うん」 目の前でぷらぷら手を振られてやっと目の前が視界に入る。 仁くんはすでに本を借りて、帰る準備万端だ。 わくわく感はすぐ僕を別の場所に攫ってしまうから困る。 仁くんは僕の態度に苦笑しながら、図書室のドアを開ける。僕を通してから、仁くんが隣に並んだ。そして二人並んで歩いていった。

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