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しおき4
何も見えないけれど、颯太が倒れた僕の上に覆い被さるのがわかった。
顔中にキスが降ってくる。額、頬、鼻、そして目。ネクタイがやんわり押される。その間にワイシャツのボタンが外されていた。
次は唇に来るだろう。見えないから、颯太の感触がはっきりしている。同時に、触れてもらっていないと、不安になる。
いつ消えるかわからないから。
でも、キスは来なかった。待てども待てども、来ない。
続き、しないのだろうか。そんなわけはない。
「……そう、ひぁんっ」
焦れて名前を呼ぼうとした時、急に胸の突起を摘まれた。ビリビリっと快感が走る。
見えない分、不意打ちであったし、よく感じる。
それはそうだ。五感のうち一つが封じられれば、他を鋭敏にすることで対処するしかない。
でも、でも、今の僕には。
「ふふ、いつもより声が甘い。見えないから、興奮してる?」
「ちがっ……ひゃ、ああっ」
「可愛いね」
颯太は左側を指で、右側を口でいじってくる。温かい舌に優しく舐められると、弱い快感が少しずつ注がれていく。
指の方も先をさわさわと擦られるだけ。それでも今の僕には気持ちいい。
「……ひぅ、あっ……」
もうズボンがきつくて、無意識に腰を揺らしてしまう。
いつも以上に感じてしまっているのは事実だけど、これだけでは流石にイケない。
「亜樹……」
「ひゃん!? あっ、やぁっ……!」
颯太が予告するように僕の名を呼んだあと、急に刺激が強くなる。
見えないけど、ぎゅって摘まれるのと、口で吸われるのが、同時だったと思う。
……それだけで僕はイッてしまった。
ズボンの中が気持ち悪い。それ以上に、今の自分の状態が怖い。
「亜樹、これが俺の触り方だよ」
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