610 / 961
しおき5
その颯太の声音はまだまだこれからだということを示しているような気がしてならない。普通に考えてもこのあとはまだ続くはずだ。
「……颯太、これとって……」
颯太の顔が見えないことが、これほど怖いとは思わなかった。
感じすぎる自分。真っ暗な世界。
相手が颯太だとわかっているのに、それでも、怖い。
ネクタイにじわりと涙が染みていく。
「まだダメだよ」
「そうたぁ……」
「可愛い声出してもダメ。これはお仕置きなんだから」
颯太の頭がありそうなところへ手を伸ばす。でもすんでの差で颯太はすり抜けてしまった。
「……アッ、ん……」
舌が胸の下を通って、へそまで辿っていく。
その間に手は僕のズボンを剥がし、窮屈だったものが解放された。
このあと起こることは、まさか。
「あぁっ、だめ、そうたっ……ひゃうっ」
案の定、僕の性器が颯太の口内に招かれる。
温かくて、湿っていて。颯太のあの綺麗な口に僕のが入っているんだ。
そう思うとすごく恥ずかしいのに、快感は、止まらない。シーツをぎゅっと掴んで耐えるしかできない。
「ンゥッ……んっ、あっ……ひっ」
気持ちいい。気持ちいい。気持ちいい。
鮮明に伝わってくる快感が怖い。逃げたくなる。
「あひ、ひもちいい?」
「やぁんっ、しゃべっ……だめっ……!」
「ふふ、これが俺の触り方」
ともだちにシェアしよう!