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しおき8
「じゃあ挿れるね」
「そうた、これ、これっ……」
「んー……まだダメ」
腕を必死に伸ばして颯太に懇願する。それでも返事は無慈悲なもの。
じわりとまた瞳を潤ませると、指が抜け出ていった。
「亜樹」
「……んっ」
颯太は僕の口にキスしてくれる。するりと舌が入って、僕の舌と絡む。それだけで僕は軽くイッてしまった。
ひくひく動く後ろ。そこに颯太のものが当てられる。
「んっ、んんっ」
キスをしたまま颯太が侵入してきた。僕の喘ぎ声は全て颯太に吸い込まれる。
今日は丁寧にほぐされたせいか、すんなり入ってくる。僕の中はそれだけでとても喜んだ。僕はもうイキたくないのに。
「んーっ、んぅ」
「全部入った」
颯太が嬉しそうに言う。
「亜樹の中、俺のこと離さないって締め付けて、熱くて、可愛いね」
「やっ……言っちゃ、だめ……」
耳元でそんなことを囁かれれば羞恥を感じないわけがない。顔を逸らして、きゅっと拳を握った。
「そんな亜樹のためにたっぷり動いてあげる」
「颯太、待っ……ひぅ、やっ、ぁあんっ」
ズンッといきなり強く突かれる。びくびくと震える腰。
でも間髪入れずに腰は動き出す。
「まっ、まだ、やっ、ああんっ、アァッ」
「ごめん、待てない」
僕に颯太を覚えさせるため、いつもよりゆっくりほぐされていた。だから、かな。
目が見えないと颯太の声がよく聞こえる。欲情を抑えきれない声。胸のあたりが熱くなる。
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