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しおき9

「……ひぁっ、あっあっ」 「んっ、亜樹……」 「そうた……」 闇雲に手を伸ばす。両腕の間に、今度はちゃんと颯太が収まってくれた。そしてまたキスをしてくれる。 こうすると全身が繋がっているみたいだ。まるで一つに溶け合っているような、錯覚。 温かくて気持ちいい。でも、足りない。 「亜樹、ごめんもう……」 「ん、僕、もっ……あっ……ああっ」 答えると突くスピードが速くなる。ズンズン容赦無く奥を抉られ、無理やりに快感が押し出されていく。 熱が性器を登ってくる。今度は、出してイキそう。 「ひっ、あ……んっ」 「……っ」 「んーっ……」 直前にキスをされる。そして颯太のが奥へ注ぎ込まれた。どくどくと脈打つ熱いもの。 お腹がほわほわ温かくなっていく。僕のものからも液体が飛び出す。 でも、でも、やっぱり、足りない。 「亜樹、大丈夫?」 颯太が中から抜いて、するっと頬を撫でてくる。 「これ、とって……そうた……」 「うん、もう取るね」 颯太が結び目を解いて、ネクタイをそっと外す。 電気はつけてないから暗いとはいえ、まだ太陽は残っている。 眩しさに目を瞑って、少ししてからゆっくり開ける。 目の前にはちゃんと、颯太が、いた。 「そうただ、そうたが、いる……そうたぁ」 「亜樹……」 もう既に泣いていたくせに、僕の瞳からまたも大粒の涙がこぼれる。ぎゅうっと颯太に抱きついた。

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