614 / 961
しおき9
「……ひぁっ、あっあっ」
「んっ、亜樹……」
「そうた……」
闇雲に手を伸ばす。両腕の間に、今度はちゃんと颯太が収まってくれた。そしてまたキスをしてくれる。
こうすると全身が繋がっているみたいだ。まるで一つに溶け合っているような、錯覚。
温かくて気持ちいい。でも、足りない。
「亜樹、ごめんもう……」
「ん、僕、もっ……あっ……ああっ」
答えると突くスピードが速くなる。ズンズン容赦無く奥を抉られ、無理やりに快感が押し出されていく。
熱が性器を登ってくる。今度は、出してイキそう。
「ひっ、あ……んっ」
「……っ」
「んーっ……」
直前にキスをされる。そして颯太のが奥へ注ぎ込まれた。どくどくと脈打つ熱いもの。
お腹がほわほわ温かくなっていく。僕のものからも液体が飛び出す。
でも、でも、やっぱり、足りない。
「亜樹、大丈夫?」
颯太が中から抜いて、するっと頬を撫でてくる。
「これ、とって……そうた……」
「うん、もう取るね」
颯太が結び目を解いて、ネクタイをそっと外す。
電気はつけてないから暗いとはいえ、まだ太陽は残っている。
眩しさに目を瞑って、少ししてからゆっくり開ける。
目の前にはちゃんと、颯太が、いた。
「そうただ、そうたが、いる……そうたぁ」
「亜樹……」
もう既に泣いていたくせに、僕の瞳からまたも大粒の涙がこぼれる。ぎゅうっと颯太に抱きついた。
ともだちにシェアしよう!