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お悩み相談1
六月ある日の昼休み。
僕は非常に困っている。うん、困っている。
「亜樹先輩、俺とどこか行きましょうよ」
「えっと……」
「れーんくん!!」
「引っ付くな」
端的に言うと増えてしまった。
姫野くんが頻繁に来るようになってただでさえ騒がしかったのに、今度は仁くんまでやってきて。僕にあの手この手で話しかけて、体に触れてくる。
「くっつくな、弟くん」
「独占欲強すぎ、ダサいですね」
「姫野も仁もどっか行けよ」
「兄さんはその方の相手してなよ」
僕はその度に颯太に救い出される。でも仁くんは上級生の中でもちっともめげないし。姫野くん全然気にしていないし。
更に騒がしくなってしまった。
松村くんがここにいなくてよかった。
「なにこれ〜」
「……知らない」
僕と颯太の席に遊びにきた凛くん、轟くんは困惑して状況をうかがう。
そりゃそうだ。僕だってわけがわからない。
「蓮くん、二人で別の場所行こうよ〜!」
「は? いやだ。それに俺は」
「へっ?」
颯太の近くで安心していたら、急に腕を引かれる。引っ張ったのは、清水くん。
僕は清水くんに後ろから抱きしめられる。その腕は腰に回って、するっと僕の体のラインをなぞる。
「ひゃっ……」
し、清水くんなのに触り方が、おかしい。
「渡来が好きなんだよ」
「はぁ!? またあんた!?」
姫野くんに怒鳴られて僕はびくっと体を震わせる。固まってしまって清水くんの腕から抜け出すことも忘れてしまった。
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