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お悩み相談2

「ちょっと清水くん」 「ちょっと兄さん」 颯太と仁くんが同時に言って、次に睨み合う。 そんな二人を見て清水くんはニッと口角を上げる。 「もう遠慮するのやめたから」 「亜樹は俺のだから」 「兄さん、吹っ切れたのかよ……失敗したな」 「蓮くん! こんな子のどこがいいのー!」 僕を挟んで、清水くんと颯太、仁くん、姫野くんの言い合いが始まる。 まだ少し信じきれないけど、清水くんは僕を好き……なんだもんね。だからこんなことをしていて、でも僕の恋人は颯太で。 「亜樹先輩、俺のとこ来てくださいよ」 「そ、それはちょっと……」 「蓮くんボクを選んでよ!」 「無理」 「清水くん、とりあえず亜樹かえ」 「あー!もう!!」 やんややんや言い合う五人に一喝が落とされた。その声の主は、轟くん。 鬼の形相は言い過ぎだけど、けっこう怒った顔をしている。 隣の凛くんは特に驚くこともなく、轟くんを見ていた。 「と、轟くん……?」 「うるせーよ、お前ら! わけわかんねーし!」 そう怒鳴る轟くんが一番煩いのでは、と言えるはずはない。 轟くんは怖い顔のまま僕の腕を引き清水くんから引き剥がした。そして凛くんへと押し付けられる。 「凛と渡来あっち! そんで残りはこっち!」 僕と凛くんは教室の端に追いやられ、颯太たちは清水くんの机の方まで連れていかれていく。 そこでとりあえず落ち着けとばかりに、轟くんは空いた席に座らせている。 「……え?」 残された僕は、わけもわからず疑問符を浮かべるしかできない。

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