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お悩み相談4

「……え、えっと、その」 真面目に質問してくれているようだから、誤魔化すのも悪い。でも恥ずかしい。でも、凛くんに嘘をつきたくない。 プシューッと僕の頭から湯気が出そう。卒倒しそう。 隣の凛くんをまた見る。やっぱり真剣。 「……う、うん。するよ」 「……う〜ん、そうなのかやっぱり〜」 凛くんは茶化すことなく頷いて、唸り始める。 「初めてはいつだったの?」 「えっ!? ……えーと……」 これも凛くんの顔を見る限り悪気はない。 たぶん、轟くんとの関係で、悩みを聞いてほしい、から、その一貫だと思うけれど。 真っ赤に染まる顔をそらしながら、ボソッと呟く。 「出会った日、です……」 「そうなのかぁ〜、う〜ん……」 これまた凛くんは大真面目に頷く。特に驚いた様子もないし、からかうそぶりもない。安心する。 両想いになる前に初めてを済ませているという事実は、かなりおかしいことだ。結果的に今は付き合っているからいいとしても。 「おれとたかちゃんさぁ……まだなんだよね」 「そうなんだ。でもそれぞれのペースがあるから」 「ん〜でも〜」 確か二人は修学旅行の時に付き合い始めたばかりと言っていた。それに幼馴染だったわけだし、轟くんは照れ屋みたいだし、ゆっくりでも仕方ないのではなかろうか。 それでも凛くんは口を尖らせている。 「凛くんはしたいの?」 「そんな感じ〜」 少し意外だった。 凛くんって幼馴染を抜けきっていない感じが伝わってくるから、そういうことも頭にないのかと思っていた。 轟くん、良かったねって言いたい。ただ凛くんの声音や表情からすると、純粋な興味が多分に含まれている気がする……。 轟くんが大好きだから、欲しくてたまらないから、というより、恋人だからやるものだとか、エッチはどんなものなんだろうって。

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