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凛々奮闘記1

○ ● ○ 「おーい、今日の練習もう終わりー!」 部長の声にうぇーいとかはーいとか声が上がる。おれも返事をして、周りに散らばったボールを拾う。 それを籠に戻してから、たかちゃんの姿を探す。すぐに見つかった。タオルで汗を拭っている。 「たかちゃ〜ん」 いつものように伸ばしかけた腕が、途中で止まる。 「……なんだよ」 「……あ〜ううん。帰ろう〜」 抱きつかないことに、たかちゃんは怪訝な視線だ。とりあえずへらへらと笑っておく。 それにたかちゃんは更に不思議そうにした。 「変なやつ」 そう言いつつもおれが隣に並ぶのを見届けてから歩き出す。たかちゃんはやっぱり優しい。昔から。 そしてそんなたかちゃんと、今は恋人同士で。おれは今夜、誘おうと思っている。 たかちゃんがそういうことしたいのか、わからないけれど、恋人同士だしって、おれは思う。亜樹くんたちもやっているみたいだし、やっぱり、うん。 ただたかちゃんに対して改まるというのも、今更って感じはするし。緊張する。 「……ん、凛。おい、凛」 「へ? なに、たかちゃん〜」 「なにじゃねーよ。何度も呼んでんだけど」 「ごめん〜」 たかちゃんはおれを睨んで、小声でまた変なやつと言った。失礼な。

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