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凛々奮闘記6

--- あの後、なんだかんだあって結局付き合うことになった。恋人になって何か変わったかといえば、幼馴染とやることは変わっていないけれど。 肩書きってものが大切なのかなぁって。でもそろそろ恋人らしいこともした方がいいかなぁって。 「凛?」 「……え? わっ!」 階段の途中で無意識に足を止めてしまっていた。たかちゃんの声にやっと足を動かそうとしたら、滑らせてしまう。 「……とっ。あぶねーな」 「へへ〜」 地面に顔面強打かと思いきや、たかちゃんがちゃんと受け止めてくれる。おれはたかちゃんの腕に半分ぶら下がった状態で笑った。 「いつもたかちゃんは助けてくれるね〜」 「凛がドジだからだろ」 「そんなことない〜」 「いいから自分で立て」 「わ〜」 たかちゃんが腕を動かしておれのかかとを地面につける。 たかちゃんっておれに対しては乱暴だ。 「ほら、帰んぞ」 「うん」 振り返っておれを待つたかちゃん。おれはその横に並んだ。 毎日当たり前におれらは一緒に帰って、一緒の家に入ったり、それぞれの家に入ったり。何があっても、たかちゃんの隣におれって事実は、変わらないんだ、きっと。 恋人らしいことをしたとしても、きっと。 たかちゃんと並んで歩いて、途中でスーパーに寄った。野菜以外の食材を買って、一緒におれの家に帰った。

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