626 / 961
凛々奮闘記6
---
あの後、なんだかんだあって結局付き合うことになった。恋人になって何か変わったかといえば、幼馴染とやることは変わっていないけれど。
肩書きってものが大切なのかなぁって。でもそろそろ恋人らしいこともした方がいいかなぁって。
「凛?」
「……え? わっ!」
階段の途中で無意識に足を止めてしまっていた。たかちゃんの声にやっと足を動かそうとしたら、滑らせてしまう。
「……とっ。あぶねーな」
「へへ〜」
地面に顔面強打かと思いきや、たかちゃんがちゃんと受け止めてくれる。おれはたかちゃんの腕に半分ぶら下がった状態で笑った。
「いつもたかちゃんは助けてくれるね〜」
「凛がドジだからだろ」
「そんなことない〜」
「いいから自分で立て」
「わ〜」
たかちゃんが腕を動かしておれのかかとを地面につける。
たかちゃんっておれに対しては乱暴だ。
「ほら、帰んぞ」
「うん」
振り返っておれを待つたかちゃん。おれはその横に並んだ。
毎日当たり前におれらは一緒に帰って、一緒の家に入ったり、それぞれの家に入ったり。何があっても、たかちゃんの隣におれって事実は、変わらないんだ、きっと。
恋人らしいことをしたとしても、きっと。
たかちゃんと並んで歩いて、途中でスーパーに寄った。野菜以外の食材を買って、一緒におれの家に帰った。
ともだちにシェアしよう!