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夏だ!どこへ行く!?3
「凛くん」
ぼーっと宙を眺めていた凛くんに声をかける。
「亜樹くんだ〜」
凛くんはへにゃりと笑う。その表情は前と変わらない。
凛くんの席の隣に立つ。少し威圧感があるかと思って、すぐにしゃがんだ。
「珍しいね」
「ん〜、何が〜?」
「轟くんと一緒じゃないの」
「あ〜……うん……」
轟くんの名前を出した瞬間、凛くんの表情が曇る。
僕はあまり人の感情の機微に気づける方ではないのにわかるほどだ。
これなら素直に話してくれるかもしれない。ただ轟くんの差し金だと気づかれないようにしなければ。
「喧嘩でもした?」
「違うんだ〜……そうじゃない〜……」
凛くんは唇を尖らせ、頬杖をつく。
「何かあるなら聞くよ……?」
「亜樹く〜ん……」
その腕を伸ばし、そこに頭を乗せた。そして顔を倒したまま僕を見る。
僕は机のふちに手をかけて凛くんを見つめる。
「あのね〜……一言で言うと、たかちゃんがかっこいいの」
「…………ん?」
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