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夏だ!どこへ行く!?4

轟くんがかっこいい。だから、避けている。 どういうことだろう。凛くんはごく当然といった雰囲気で言ったけれど。 「たかちゃんがとにかくかっこよく見えて〜……どう接したらいいか、わかんなくなった〜……」 「……照れちゃうってこと……?」 「……ん〜、そうかも……」 これはもしかすると、凛くんは轟くんのことを恋人と意識し始めたのではないだろうか。だから幼馴染として接していた自分が、思い出せない。 凛くんは真剣に悩んでいるが、僕はどこか微笑ましいと思ってしまう。 「それに気持ち悪いよ……」 「え? 気持ち悪い?」 「そう〜。何でもかんでもかっこいいって思っちゃうの、たかちゃんからしたら気持ち悪いに決まってる」 「そんなことないと思うけどなぁ……」 「そりゃ亜樹くんは相手が間宮くんだから」 凛くんはいじけた顔で僕を見る。 確かに不安に思ってしまうのも無理はないのかもしれない。僕の場合、颯太がいつもいつもリードしてくれるから、そういう類の心配はあまりしなかった。 だけど普通の同性カップルなら、通る道でありそうだ。 「でも一つ、僕でも自信持って言えることがあるよ」 「何……?」 「素直に話してみればいいんだよ。轟くんはきっと喜ぶ」 「……本当に?」 「うん」 僕が満面の笑みで言うと、凛くんの表情が幾分か和らいだ。 凛くんは素直だから、大丈夫だ。 「ありがとう〜亜樹くん」 「どういたしまして」

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