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夏だ!どこへ行く!?6

その場にいた皆が固まる。 凛くんは松村くんに腕を掴まれたまま動きを止めている。姫野くんは清水くんの腕を掴んだまま、清水くんはそれを剥がそうとしている状態で止まる。 「…………は?」 最初に声を発したのは、清水くんだ。さすが松村くんの突発性に慣れているだけのことはある。 「いや、だからプール行こうぜ」 「……待て。急にどうした」 なんでオレの言っていることがわからないかな〜とばかりの顔で松村くんは返す。 清水くんは掌を松村くんに向け、空いた手は額に当てた。 「いやー最近暑いだろ? ほら見ろよ、窓の外!」 「……いや確かに暑いし、窓の外は太陽が照っているけど」 「ほらな! だからプールだ!」 きっとトイレかどこかに行って窓の外を見て、プールが思い浮かんだのだろう。もうこれは行く以外の選択肢がないという様子だ。 でも僕たち全員に向けて言っているけれど、本当にみんなで行くのだろうか。 仁くんや姫野くんはどうするのだろう。 「……まあ別にいいよ。んで、全員で行くのか」 「おう! 間宮に渡来、蓮も轟も小室も! 仁も行くよな!?」 「えっ? まあ、亜樹先輩が行くなら……」 「じゃあ来い!」 仁くんすごい……。 三年生の中で一人だけ一年生だなんて、僕には無理だ。 サッカー部で普段から話している二人がいるから、まだいいのかもしれない。 いや、あの子の性格的に、僕を追いたいだけだろうか。 「そんでー……」 松村くんは次に、清水くんの隣に焦点を合わせる。つまり姫野くん。 そういえばこの二人は面識がなさそうだ。 姫野くんは松村くんを見つめ返す。一瞬だけど、その瞳に恐怖が浮かんだ気がした。

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