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瞬刻の想い3
ネタに走る水着はどちらも戻し、静かな見た目の水着コーナーに移った。
僕の中で青か黒と選択肢は決められていた。僕が颯太にすごく似合う色だと思っているし、そもそも颯太の持ち物もその二色が多い。
前に好きだとも言っていたし。
「んー……これか、これ、でもなー……」
手にたくさん水着を持って颯太に合わせていく。色を二色に限定したら、どれもこれも似合ってしまう。
全て着て欲しくて決まらない。
「亜樹、大丈夫?」
「大丈夫じゃない……」
「え?」
「颯太が全部似合うせいで、決まらない」
決められない自分のせいだとわかっているけれど、颯太をムッと睨んでみる。なぜか悔しくて瞳が潤んだ。
たぶん颯太に一番似合うものをなかなか見つけることのできない自分への悔しさだ。
「可愛いね、亜樹は」
「笑い事じゃな、んぅ」
柔らかく微笑んだ颯太はそっとキスしてくる。一瞬だったけれど、僕の頬は熱くなる。
「だ、だめだよっ……」
「ごめん、つい」
僕は慌てて颯太の胸を押し返した。
幸い店の奥の方で、しかもレジも遠いから、見ている人はいなかったと思う。
だけど颯太のことを咎めるように睨んでおいた。すると頬にするりと手が触れてくる。
「俺は亜樹が選んでくれたのなら、何でも嬉しいからね」
「……うん」
羞恥も焦りも、全て吹き飛んでしまった。
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