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瞬刻の想い4
結局僕は黒に近いブルーと白の太いボーダー柄を選んだ。
シンプルで大人っぽくて、颯太を引き立てる。少なくとも僕にはそう見えた。
「よーし、じゃあ次は亜樹の」
颯太は僕の選んだ水着を手に持って嬉しそうにしながら、僕の背を押した。
僕が連れていかれたのはパーカーとセットの水着コーナーだ。
「パーカーつきにするの?」
「うん、もちろん」
キョトンと首を傾げると、颯太は自信満々に頷いた。
「だって亜樹の上半身を他の男に見せられるわけないでしょ?」
「……ば、ばか」
「ふふ、馬鹿で結構〜」
ポポポッと頬は染まって、俯いてしまう。颯太は鼻歌でも歌い始めそうなご機嫌な様子で返してきた。
そして色々な水着を取り出していく。
淡い色合いが多いコーナーみたいだ。
「やっぱ亜樹は黄色かな〜……」
「黄色……」
颯太の言葉でふわっとあるものを思い出す。
「あれ? 嫌いだっけ?」
「えっ! ううん、違う。好きな色だよ」
「ならよかっ……あー、そっかそっか」
颯太も同じものを思い出したのか、途中でにやにやし出す。
「ち、違うよ! リス貰う前から好きだったもん」
「俺、リスなんて一言も言ってないけど?」
「〜〜っ! ずるい」
颯太をキッと睨む。
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