657 / 961
対極1
「プールだぁー!!!」
カラリと晴れ上がった空に松村くんの声が響く。
プールの日はあっという間にやってきた。
気温は高く、雨の気配もない。絶好のプール日和だ。
かなり大きめのプールにやってきたので、人の数が多い。流れるプール、小児用プール等、プールの種類が豊富だ。
「うるせーな」
松村くんの大声を清水くんが咎めた。ベチッと頭を叩かれても、松村くんは楽しそうに笑う。
「大所帯だね」
「うん、そうだね」
隣に立つ颯太がぐるりと一行を眺めて呟く。
颯太、僕、凛くん、轟くん、清水くん、松村くん、仁くん、姫野くん。八人もいる。
こんなに大勢で出かけるのは初めてだ。
ちゃんと団体行動できるのかと不安になるけれど、それ以上に今の僕には問題がある。
「亜樹?」
「ん?」
「ぼーっとしてどうしたの?」
「え、してないよ」
颯太の水着姿がとてつもなくかっこいい。
細く逞しい上半身を惜しげもなく晒し、水着から伸びる脚はすらりと長い。太陽の光に照らされる茶髪と笑顔は、直視できないくらい眩しい。
見慣れるのに何分もかかってしまいそうだ。
「あ、そうだ。チャックちゃんと閉めるんだよ」
「へ、平気だってば」
「だーめ」
颯太が僕のチャックを一番上まで上げる。必然的に距離が近くわけで……。
僕の心臓は高鳴りだす。
「どこで誰が狙ってるかわからないんだから、できるだけ肌は見せちゃダメ」
「誰も狙ってないよ……」
「こんな可愛いのに?」
「う、うるさいっ……」
颯太がチャックから手を滑らせ、鎖骨をなぞる。それだけで鼓動は倍速だ。
赤くなった顔をそらしたところ。
「相変わらずお熱いですね」
仁くんが僕の横にやってきた。
ともだちにシェアしよう!