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揺れる7
○ ● ○
「茂ー!」
松村くんを呼ぶ声。
ボールを打つ手を止め、二人して出所を見る。清水くんがこちらへ向かって歩いてきていた。
その横には姫野くんがいる。
この構図だと清水くんが姫野くんを連れているように見えた。いつもは姫野くんに振り回されてばかりだったのに、いつの間にやら立場が逆転している。
「おおー! 帰ってきたのかよ!」
「もうこいつの相手に疲れたんでな」
「酷いよ、蓮くんー!」
松村くんがプールから上がって清水くんを出迎える。僕も遅れて上がった。
『こいつ』と顎で示された姫野くんは頬を膨らませる。芝居がかっているにもかかわらず可愛いのだから、姫野くんはすごい。いや、芝居がかっているからこそなのだろうか。
「ずっと二人でいたのか?」
「おう! 渡来とビーチバレーをしていた!」
「ビーチじゃねーだろ……」
「松村相変わらずバーカ」
「そんなことねーよ! オレは天性の才能を持つ者!」
姫野くんの呆れ声に松村くんは、顎に手をかけつつ体の動きも交え、ポーズを決めた。僕にはよくわからないけれど、自分でかっこいいと思っているものなのだと思う。
僕は苦笑してしまった。清水くんと姫野くんは溜め息を吐く。
「てか仁のやつまだ帰ってきてねーのか。間宮も間宮で何してんだよ」
「仁はなかなかに運動神経いいし、いい勝負してんのかもなー!」
「そうじゃないって……」
清水くんがあたりに視線を巡らせ、二人の姿が近くにはないことを確認する。
……じわっと嫌な気持ちが蘇ってきてしまう。
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