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透明の恋慕2

口を開けてみる。 すぐに閉じてしまう。 だめだ。緊張しすぎて、息すらうまく吸えない。 なぜおれはこんな状態になってしまったのだろう。今が嫌だというわけではないけれど、せめて普通に接することはしたい。 「いいよ。別にゆっくりで」 「たかちゃん……」 パシャッと一回水を蹴り上げて、隣のたかちゃんが静かに言った。おれを見てはいない。 たかちゃんには何でもお見通しなんだなって、どこか嬉しくなった。 「……ねえ、最近のおれ……変だと、思う?」 少し余裕の生まれた心は、おれの口に言葉を紡がせてくれた。 プールサイドの床に手を置いて、水面を眺める。 「んー、まあ、そうだな。俺を避けてるような気がしなくもない」 「だよね〜……」 「……俺、なんかした?」 その一言にどきりとする。 だがその声音はさして心配していないものであった。確認程度に聞いておきたいと言ったところだ。 おれは小さく頭を振る。 「ううん。おれが悪い」 「悪いは言い過ぎだろ」 「引かないって約束してくれない?」 「んだよ、それ。珍しいな」 たかちゃんは可笑しそうに笑い声を漏らした。 「お願いだから」 「そんなの約束するまでもねーだろ。今さらだって」 「……うん」 たかちゃんがおれの背を軽く叩いた。手が直接背に触れる。 そこからじわっと温かさが広がっていった。

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