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Rainy magic 3

両親が僕を見捨てた日。使えない人間と切り捨てた日。あの日も、雷がすごかった。だから思い出してしまう。 酷く、的確な、言葉を。 使えない人間。まさにその通りなのだ。 幼い頃から颯太に負け続けていたのもそう。感情をコントロールできないのも、素直に言葉を発せないのもそう。 僕は出来損ないで、使えない人間だ。 誠也にだって何一つ与えることはできていない。 誠也はいつだって僕に安静を与えてくれる。新生活を始めて、苦手だった料理も僕のために始めてくれた。仕事が忙しいはずなのに、お前は勉強でもしとけと身の回りを気遣ってくれる。金銭面も誠也が担ってしまう。 誠也は僕よりずっと大人だ。年齢的にも、精神的にも、ずっと、ずっと。 僕はそんな恋人に、何を与えられているのだろう。僕を支えてくれる人に、何を返せているのだろう。 「柊、皿出してくんねぇ?」 わかっている。この不安は雷のせいだと。 だがこうして引き出されてしまう気持ちは、僕のどこかに溜まっているものなのも、わかっている。 ぎゅっと唇を噛み締める。ソファの背もたれから背を遠ざける。 「おい、柊。どうした?」 「……なんだ、誠也」 「なんだって、さっきから呼んでんだけど」 いつの間にか誠也が僕の近くまでやってきていた。ウィッグを外し、部屋着に着替えたいつもの誠也だ。 怪訝そうに僕を見ている。 「すまない。気づかなかった」 この時ばかりは素直に謝る。 すると誠也は眉をひそめた。

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