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Crush crush 5

僕と啓二は同時に振り返る。 後ろには当然誠也がいた。 誠也は無理やり僕の腕を引いて、自身の腕の中に僕を入れる。背後から抱きしめられる形になってしまった。 「わりぃな。こいつおれのなんだわ」 「……っ、誠也!」 「……柊、の……恋人? ってことですか?」 目の前の啓二は多少驚いた顔をしながら、首を傾げる。 誠也は何を考えているのだろう。僕の友人の前で抱きしめて、恋人宣言をして。僕の立場など一つも考えない。 だが抱きしめられた僕の体は素直に喜んでいた。あんなに傷つけた僕を、また迎えに来てくれたと。 「そうだよ。だから連れてかえっから」 「……なるほど。柊はこの人と一緒に住んでるの?」 「……ああ」 啓二は次に僕に視線を向ける。僕は視線を外したまま答える。 啓二はどう思ったのだろう。男同士というのは世間一般ではまだ受け入れられないことが多い。啓二も引いただろうか。 少なくとも今の会話からはその様子は見受けられない。だが本当はどうかわからない。今はとりあえず手近な疑問を解決して、そのあと離れる可能性もある。 「喧嘩したなら早く仲直りする方がいいな」 しかし啓二は特に気にした風もなく普段の口調で言った。不思議に思って思わず顔を上げる。 視線が合う。

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