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Crush crush 6

「ああ。俺はそういうことに偏見ないから平気だ。友達に恋人がいるのは幸せそうでいいことだと思う」 「……本当に友達なんだろうな」 「誠也っ……」 僕を抱きしめたまま誠也はぶっきらぼうに問う。 敵対心を隠そうともしていない。 引かれなかった喜びを感じるどころではなかった。啓二に対して申し訳ない。 だがそんな誠也にも啓二は笑顔を向けた。 「はい。柊とは友達として仲良くしたいですし、実際そうしてます」 「……そうか」 啓二の嫌味のない笑顔に誠也も流石に信じたみたいだ。 「じゃあ俺は行きますね。さようなら。柊もまたな」 「……ああ、また」 誤解が解けて早々、啓二は笑顔でその場を去る。早く仲直りした方がいいと言っていたから、その通りに行動したのだろう。 その場には僕と誠也が取り残される。 啓二に引かれるという難関は突破したが、それ以上に大きい問題が残っている。 だが、僕が踏み出さなければならない。誠也を傷つけた僕が。いつもリードしてくれる誠也より先に、僕が。 「……誠也、す」 「そういうことは帰ってからだ」 誠也は僕の拘束を解くと、手を掴んだ。するりと絡む指は恋人繋ぎになる。 何も言わない誠也。 でも掌は温かい。 とても、とても、温かい。 いくら僕が頑張ろうと思っても、誠也はこうして先を行く。やはりどこまでも僕を引っ張ってくれる。 最初はそれが有難くて、最近はそれが辛くて、今は、それが。 誠也は僕の腕を引いて歩き出す。 僕は目元を空いた手で拭った。

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