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Crush crush 10
「お前、今他のやつのこと考えただろ」
「……は?」
「他の男のこと」
僕を睨みつける誠也。
僕は思わず小さく吹き出してしまった。
なぜ今だけ鋭いのだろう。人の心の動きはわからないとよく言うというのに。
だが笑うと当然誠也の顔は険しくなる。
「図星なのかよ」
「ああ。考えた。あの友人の言葉を」
「言葉?」
「僕といるだけで楽しいと思う人間がいると言っていた」
怒ったり、不思議そうにしたり、誠也の表情の変化がおかしい。なぜか笑みが止まらない。
隠そうとも思えず、素直に笑顔を見せる。
「僕は誠也といるだけで幸せだ。その逆もあるだろうかと、思った」
「……柊……」
羞恥が湧いてこない。今は心が本当に素直だった。すらすら出てくる言葉たちに、不快感はない。
「愛しているという感情は、こういうものなのかもしれない」
僕には縁がないと思っていたもの。きっとどこかで欲していたもの。
自然と伏せていた瞼を持ち上げ、誠也を見る。
「不意打ちとかふざけんな」
欲情に濡れた瞳が僕を睨む。
次の瞬間には荒々しく唇を奪われていた。
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