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Crush crush 12
瞼の向こうの明るさに、ゆっくり瞳を開けた。
僕はベッドで寝ていた。目の前には誠也。部屋の景色も誠也のもの。つまり誠也の部屋のベッドで一緒に眠りについたようだ。
枕元の時計に視線を向ければ、十時を指していた。
無理もない。昨日は散々抱かれたのだから。思い出すだけでも羞恥で死にそうだ。
だが幸福であるのも事実だった。
目の前で眠る誠也に視線を戻す。
寝顔だと誠也は幼く見える。普段は若々しいという印象だが、今は幼いという表現が近い。
高校生の頃やもっと昔。誠也はこのように幼い顔をしていたのだろうか。
考えてみれば僕は誠也の過去を何も知らない。
今までそれを気にしたこともなかった。
過去は過去。今は今。
僕を占めるのはそれだけだった。
「……んー……」
誠也の眉間にしわができ、黒い瞳が現れた。
それらが最初にとらえるのは僕で。
同時に瞳に柔らかな光が宿る。
「おはよう、誠也」
「はよ」
「なあ、誠也の過去が知りたい」
「……過去?」
寝ぼけ眼にそう頼めば、理解に時間をかけてから誠也は返した。
「ああ」と僕は頷く。
誠也はまだ覚醒しきっていないようで、しばらく眠そうに何かを考えていた。最後に一回きつく目を瞑ったあと、体を起こした。
「聞いたっておもしれぇもんでもねぇぞ」
「構わない。誠也のことが知りたいんだ」
誠也の体からはらりと布団が落ち、逞しい上半身が現れた。僕も同じように体を起こす。誠也と比べれば華奢や貧弱が似合いそうな体。
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