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空に散る色3
「んっ……はっ、んぅぅ」
そっと瞳を開ければ、懸命についてくることしかできない凛の顔。それでも凛は指先をおずおずとおれのと絡めた。
意図したことでなくとも、おれの勢いはさらに増す。
昔から好きだった。大好きだった。
それなのに今止めることができるはずがない。
「やっ、たか……ちゃ、ンンッ」
夢中で恋人の唇を貪り続けた。
桃色に染まった脳内が冷めるまで。
荒ぶった心が落ち着くまで。
何分経ったか、おれはようやっと凛を解放した。
ぷはっと息を吸って、凛はおれの胸へと倒れこむ。
花火の音が耳に届いた。あたりが明るくなる。
「……たかちゃんの、あほ」
「……ごめん」
「……花火、見れない〜……」
「ごめんって」
徐々に正気が戻ってくる。
後悔はしないが、ああ、やってしまったとも思う。
胸元の凛の頭を優しく撫でる。凛の息はまだ少し荒く、一向に顔を上げる気配がない。
しかも止まることのない恨み言を繰り返す。
それでもやはり、温もりがとてつもなく幸福に感じられた。
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