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綻び2
適当なカフェを見つけて僕と柊先輩は中に入った。
「帰省中なのに急に呼びつけてすみません」
「いや、それは構わない」
テーブルを挟んだ向かいの柊先輩に頭を下げる。それを彼は手で制止した。
柊先輩ならいいアドバイスをくれそうだという予想。それからきっと帰省はするだろうと思い、今回呼びつけてしまったのだ。
「それで何か相談があるといっていたな?」
「……はい」
飲み物が運ばれてきて早々に柊先輩が切り出した。僕はカフェオレで喉を潤す。僕の手元を柊先輩は見ていた。
僕がコップを置き、柊先輩に視線を移すと、柊先輩も見つめ返してくる。
それから僕は洗いざらい話した。
それこそ何もかも全て。去年の夏以降のことをほぼ話したのではないかと思えるほど。
完結に話せてなどいない。しかも支離滅裂だったかもしれない。それでも僕は吐き出すので精一杯だった。
「……それで、柊先輩に助言をもらえたらなって……」
最後の一言を吐き出して、僕は口をつぐむ。酷く喉が渇いていた。だがいやに緊張してカフェオレに手を伸ばすこともできない。
柊先輩は口元に手を当てて暫く悩む。
しかしやがて視線をあげた。
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