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崩れゆく1
颯太を拒絶してしまってから、何日、経ったろう。
もう何日も経った気がする。感覚が狂っているだけかもしれない。
体育座りに埋めていた顔を上げる。デジタル時計の日付を見る。まだ二日しか経っていない。たった二日だ。
ではこの二日僕は何をしていたろう。考えてみても、いまいち浮かんでこない。
食べた記憶もあまりない。
たぶん母さんが作ってくれた、あの食事が最後。美味しかった。温かかった。
でも、それ以上の温かさはもう、僕は、手にできないのかも。
誰に答えを求めることもできない。でも僕には勇気を出すことも、かといって踏み出しきることもできない。
苦しい。辛い。寂しい。
颯太。颯太に会えないのに、会いたい。
動く気力は残っていなくて、また顔を膝に埋める。間髪入れずにスマホが震え出す。
僕は手探りで掴み、ちらりと画面を見た。
「……そう、た……」
表示される愛しい名前。
震える唇。
画面に伸びる指。
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