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晴れゆけば3

爽やかな香りが鼻腔を通り抜けていく。じわりと涙が、颯太の服にしみていく。 「ごめんね。俺との約束でそんな悩ませちゃって。ずっと一緒って言葉で、こんな苦しませてるなんて、気づけなかった」 「……違う、よ。僕が……」 続けようとした言葉はより強く抱きしめられることで止められた。 颯太の手は僕の背を優しく撫でてくれている。 「でもね、ずっと一緒って、体が一緒じゃなくても成立すると、俺は思うんだ」 「……どういう、こと?」 顔を上げると颯太の顔が目に入った。落ち着いて、大人っぽい。いつもの颯太。 僕を見ると颯太は困ったように笑った。涙でぐしょぐしょな顔。人差し指で優しく目元を拭われた。 「俺が言っていたずっと一緒は、心が一緒ってこと。確かに物理的に一緒にいられるのも嬉しいけれど、離れていたってお互いを思い合うでしょ?」 「……ん」 「そしたら俺らはずっと一緒だよ」 唇を噛む。確かにずっと一緒。 颯太と僕の意味合いは違った。だからお互いがお互いを追い詰めた。 「……でも、寂しいよ」 「うん。そうだね」 僕はまた胸に顔を埋める。颯太は頭を撫でてくれた。 僕が望むのは志望校を戻すこと。でも、結局は寂しい。今ではそれが自分の望みだってちゃんと言えるけど、寂しい。

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