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フリージアのあわ2
そのままやわやわ握られるか、颯太が阻止するか、どちらかと思いきや、清水くんはすぐに手を外す。その表情はどこか曇っている。
「清水くん、何かあったの……?」
「ん?どうして?」
「ちょっといつもと違う気がして」
「なんもないよ。ありがとう、渡来」
清水くんはいつもと変わらない笑顔を向けてくる。しかしすぐにニヤニヤとした笑いを顔に広げた。
僕と颯太、それから繋いだままだった手を、その視線は辿る。
「相変わらず夫婦だな」
「あっ、も、もうっ……」
僕は手を離し、頬を膨らませる。清水くんはからりと笑って僕の前を去った。
「清水くんも相変わらずだけどね」
「……うん」
「そんなに違和感あった?」
「……気のせい、かな」
「そうだといいね」
僕との会話を聞いていた颯太も心配そうな顔をする。
清水くんに何かあったのだろうか。夏休みは長いから、何があってもおかしくはない。
そもそも受験ストレスの可能性だってある。
予想できる原因は無数だ。ただああして答えたということは、まだそこまで追い詰められていないはず。そもそもほんの少しの違和感だったし。
大切な友人だから、悩みは早く解決してほしいなと、心の中で思った。
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