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フリージアのあわ3

○ ● ○ はぁ……と自分の吐いた息の音が耳を抜ける。 溜め息とか俺らしくない。 そんなことを心の隅で思った。 夏休みが終わり、授業が始まる。高校最後の日々が一歩ずつ終わりに近づいていく。 夏休みは部活と勉強の日々だった。ただ夏の大会で俺たち三年は引退なので、後半からは勉強ばかりだったのだが。 本来なら部活やら受験やらで占められてもいいはずの脳。だが俺はあの祭りの日をよく思い浮かべてしまう。 姫野と茂の関係。姫野の過去。絡んできた三人の言葉。 「やめよ」 パンッと軽く自分の頬を叩く。そして昼休みの教室を出ていく。 聞くのが憚られて口を開けなかったが、決めた。 廊下をトイレの方向へ進んでいく。するとハンカチで手を拭きながら歩いてくる人影が視界に入った。 「ふんふふ〜ん」 変な鼻歌を歌っている。 「茂」 「おーう!蓮!」 俺を視線で捉える茂。茂はいつものように歯を見せて笑った。

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