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フリージアのあわ7

一瞬、空気が凍った気がする。 「……知りたい?」 でもすぐに姫野は言葉を続けた。 背中側で手を組み、俺を覗き込んでくる。その瞳は何を考えているかいまいち掴めなかった。だが俺をしっかり縛ってくるようで、気づけばぎこちなく頷いていた。 「え〜えっちぃ。じゃあ、一緒に温泉旅行行ってくれたら教えてあげる!」 「……温泉旅行?」 「体育祭の優勝クラスがもらえるペアチケット!」 「あ、ああ……あれか」 姫野と、温泉旅行。 つまりは追いかけ回してくるやつと旅行ということだ。 別に姫野との会話が苦痛とかはないが、一緒の旅行という事実には抵抗がある。俺と姫野が旅行したと他のやつに知れたらどうなるだろう。 「行ってくれるなら、教えてあげるよ」 「……優勝する保証ねーけどな」 「そんなことないもん!僕のクラス強いもん!」 「どーだか」 「絶対優勝する!」 ぷんぷんという効果音がぴったりの姫野。頬を膨らませて、小さな拳を握って、俺を睨んでくる。 「優勝しねーから、条件飲んでやるよ」 「ふん!ボク、蓮くんと絶対旅行行くんだから!」 俺は腕を組んで姫野を見下ろす。対して姫野は唇を尖らせる。俺たちの間にバチバチと火花が散った。 存外俺は意地っ張りで頑固で、自分の気持ちに素直ではないらしい。

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