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読めぬ心と体育祭1

気持ちのいい秋晴れの空が頭上に広がっている。校庭のざわめきを聞きながら、深呼吸をする。 姫野との約束から数週間。各クラス練習を重ね、体育祭当日はやってきた。 姫野とあんな約束をしてしまったわけだが、本当に優勝する可能性が高いわけでもない。球技大会と違って体育祭の種目は運動神経で左右されるとも言えないのだ。 毎年運動神経がいいクラスが優勝候補と思われるが、別のクラスが優勝したりしている。 温泉旅行がなくなれば、俺もおとなしく過去を探るのはやめよう。 そう決意している。 「一組!整列ー!」 腹から声を出して、ばらつきのある一組に気づかせる。俺の声にばらばらと一組の面々は整列し出した。 「相変わらずお前の声通るな!」 「うるせー。お前も仕事しろ」 「あいたっ」 茂が楽しそうに笑うから頭をはたいた。もはやこういうふざけ合いも俺たちのコミュニケーションの一部だ。 からから笑う茂を横目に指示を重ねていった。 一組だけでなく全クラス揃ったところで、ラジオ体操。それから開会式と続いていった。 それもすべて終わり、競技が始まる時間だ。 「オレ、ムカデだから行くなー!」 クラスごとの応援席に茂と行ったら、荷物を置いて早々に去っていった。 茂はムカデ競争に出る。小室もそうだ。 二番目に行われる競技なので整列はすぐなのだ。 俺が出るのはパン食い競争だからまだ先だ。 一番目の競技はスプーンレースで、出るのは渡来だ。 俺は応援席を離れ、競技がよく見えるフリーの応援スペースに向かった。

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