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読めぬ心と体育祭6

「本当に二人は仲良いんだね」 「俺らには敵わないけどね」 「もう!やめてよ、颯太」 「ははっ、相変わらずだなぁ、間宮」 渡来がニコニコして言えばすぐに間宮が渡来の腰に手を回して、いつものような夫婦漫才が始まった。それに轟は可笑しそうに笑う。 それを見ていると、仄かに心臓のあたりが苦しくなる。 「お、始まるぞ」 逃避に前を向けば、小室たち含め数グループがスタートラインに立っていた。 俺の声に前を向く三人と同時にパンッと音が鳴り、一斉にムカデたちが駆け出した。 各々声を出してリズムを合わせ、ゆっくりと走っていく。五人が同時に左右に揺れる姿は、どこか可愛らしかった。 小室は先頭だから表情もよく見える。笑顔ではなく真剣な表情だ。 その時、足が合わなくなったのか、小室が転ぶ。 「……あっ!」 それにつられて後ろの四人も小室に被さるようにこけた。隣の轟が思わず声を上げている。 その表情を見てみれば、とても苦しそうだ。助けてやりたそうに、拳を握りしめている。 その間に小室たちは立ち上がって、また走り出す。 轟はホッとしたようにまた応援を始める。 たかがレース。特に大きな怪我につながる可能性は無い。そう思う。 だが小室が転べば懸命に心配をし、頑張っていれば嬉しそうにする。腹の底から声援を送り、愛しい人を見つめる。 そんな轟は純粋にかっこよかった。 ふわり、胸で何かが揺れた。

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