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霞3
パンを口から毟り取り、はぁっと息を吐き出す。
息を整えていると係りの人から五位の紙を渡される。小さな紙にでかでかと『5』の文字が書かれている。
特にかっこ悪い五位だ。そんなことを思いつつ、一組の箱へその紙を入れ、応援スペースの方へ向かう。
「れーんくん!」
「……姫野」
姫野が応援者の輪を抜け駆けてくる。いつも通りの笑顔にいつも通りの可愛らしい上目遣い。いつも通りの作りもの。
「すっごくかっこよかったよ!」
そう言って姫野は俺の手を掴む。
その瞳は煌めいている。
「特にパン取ったところ!他の人は何回かやってるのに、蓮くんはいっか……わっ」
ついその手を思い切り振り払ってしまう。いつもよりかなり強かったせいか、姫野は一瞬痛そうな顔をした。
眉間にしわを寄せ、目をそらす。
「……かっこいいわけあるかよ」
「れんく……」
姫野を無視して俺は渡来たちがいる方へ向かう。
イライラする。無性に。
自分にか、姫野にか、全てにか。
「お疲れ様、清水くん」
「姫野には相変わらずの態度だなぁ」
「蓮ー!かっこ悪かったな!」
「松村くん辛辣〜」
俺が輪に入れば、わっと声をかけられる。苛立ちが萎んでいくような気がした。
うん、この中は楽だ。
「うるせー、かっこ悪いのは俺が一番わかってるっての」
へらりとみんなに笑顔を向けた。
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