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霞9

わいわいガヤガヤと騒音に包まれる。 競技を応援している時とはまた違ったざわめき。 あのあと全員リレーを終え、残すところは閉会式のみとなった。ちなみに三年の中で優勝したクラスは姫野のクラスだ。 競技ごとの一位は発表されているが、それでは一位の予想ははっきりしない。 果たして姫野のクラスが選ばれるのか、どうなのか。俺は姫野と旅行に行くのだろうか。 もし姫野のクラスが一位だったとして、俺はあいつと旅行に行く。想像してみてもいまいち実感が湧かない。そもそも売り言葉に買い言葉で了承してしまったが、過去を聞くために旅行に行くというのも変なことではある。今では正しい判断だったのかよくわからない。 「一組、せいっれつ〜!」 「あ、悪い」 隣で茂の大声が響く。 いつもならこれは俺の仕事だ。すっかり忘れていた。 気を取り直して前を向く。 「番号順だからなー!」 そしてまだ二列ではない一組に声をかけだした。 他のクラスからもそのような声が聞こえてくる。 そうして徐々に列は形成され、閉会式が開始となった。 校長の話や生徒会長の話等々、あまり興味のない部分を聞き流し、最後にやってきたのは結果発表。 体育委員長が台に登り、マイクの前に立つ。 「時間の都合上、この場で発表するのは三位、二位、一位のみとします。残りの順位は張り出しますので各自確認をお願いします」 例年通りの文句を言い、その手に持った紙を開く。そこには順位が書いてある。 一番前で茂と並び、その姿を見上げる。予期せず唾を飲み込んだ。その音は自身の内側からやけに大きく響く。 「ではまず三位です。三位は……三年九組!」 右手側からわぁぁっと声が上がる。かなりのクラス数の中での三位だ。そりゃあ嬉しいだろう。 歓声が収まるのを待って、委員長はまた口を開く。 「そして二位は……二年十一組!」 またも大歓声。 ここまでに姫野のクラスはない。あるとしたら一位か、三位以下。どちらの可能性も大いにある。 無意識に息を止める。 「最後に第一位は……」

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