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愛すという行為6

「あーうまかった」 満腹になった腹を押さえる。姫野に「おじさんみたい」と笑われた。俺は「うるせー」と返しつつも、自然な表情が増えてきたことに嬉しくなる。 姫野も同時に食べ終えたから、二人で並んで皿を洗った。 あとは風呂にでも入って、そのあとはテレビでも見て過ごそう。 「姫野風呂先入る?」 「……えっ……」 姫野は驚いたように聞き返してきた。視線を彷徨わせて、それから少し頬を染める。 もしかしてその先の行為を想像したのだろうか。 思えば家に連れてきてもらう前も思わせぶりな言葉を放った気がしなくもない。しかし今日いきなり姫野を抱くつもりはない。 姫野が好きだから、大事にしたい。姫野を愛しているから、他の男と一緒にはならない。 まずは普通の幸せを教えてあげたかった。抱かれるということだけが、目に見える形だけが、愛ではないということも。 「そしたら映画でも見ようぜ。借りてくるから。それかなんか録画してある?」 「録画は……ない、けど」 「了解。じゃあ見たい映画は?」 「……特に、ないかな」 「わかった」 姫野は次々くる俺の質問にしどろもどろで答えていた。その間も何か悩んでいるように、表情を変えていた。 「じゃあ俺……」 「れ、蓮くんっ……」 パタパタッと姫野が駆け寄ってくる。勢い余って俺の胸に半ば突っ込んできた。 俺の胸の中で顔を上げた姫野。その頬は赤らみ、瞳は潤んでいる。 「……しない、の……?」

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