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蜜夜6

「可愛いよ、姫野」 「やっ……」 「可愛い」 「……ひぅ」 耳元で囁いていると、姫野はとうとう顔を腕で覆ってしまった。 「顔見せろって」 「恥ずかしいから、だめ」 「お願い」 「やだ」 頑なな姫野。ぱちゅんと一回腰をぶつけてみる。 「ひっ……」 「俺、姫野の顔見ながらイキたい」 「いっいじわる……」 ぐりぐり腰を揺らして姫野を催促する。姫野の中は素直に吸い付いてくるし、その性器は元気を取り戻している。若い。 俺は姫野の胸に手を伸ばしてきゅっと摘んだ。 「ヒッ、やっ……」 「一緒にイコう」 「〜〜っ!」 イクほどの刺激を与えないように責め続けると、姫野はじれったそうに腰を揺らす。腕の隙間から見える口元はキュッと引き結ばれた。 滑らかな腰をするっと撫でる。 姫野はふるっと体を震わせ、思い切ったように俺に抱きついてきた。 「もっ……許して」 「……うん」 慣れないことだらけでいっぱいいっぱいなのか、姫野の声は揺れている。俺はゆるりと笑むと、姫野を強く抱きしめた。そして腰を打ち付ける。 「んっんっ……ひぅ……」 「……姫野」 「うん、うんっ……いっしょ」 「ああ……」 「あっ、ヒッ!」 徐々にスピードを速め、自分を高めていく。姫野を考えず、自分の快感を追う。 熱い。気持ちいい。もっと奥へ。 目を閉じ、腰を寄せ。ぐりっと奥の奥へ潜り込んだ時。 「ヒァッ、ああっ……」 「……んっ」 姫野は甲高い声を出しながらイッた。俺も姫野の中に吐き出す。 腰の動きを少しずつ緩めていき、全て出し切る。姫野を抱きしめたまま、ベッドに体を倒した。 お互い荒く息を吐き出す。 「……れんくん」 「ん?」 名前を呼ばれ、姫野の顔を見る。姫野は泣いていた。泣きながら、笑っていた。 とても幸せそうに。 言葉にできないかのように。 「……好きだよ」 愛しい気持ちが溢れ、自然と口にしていた。 姫野は目を丸くして、それからまた泣く。さっきよりも嬉しそうに笑う。 「……ボクも、好き」 どちらからともなく口付ける。 腕の中にある熱が、宝物のようだった。

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