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蜜夜8

ざわざわと騒がしい廊下。 「ちょ、蓮くん十二組過ぎた」 「いいから」 十二組に消えようとした姫野の腕を引いて、さらに先へ進む。姫野は不思議そうにしながら黙ってついてきた。 いつも朝から俺のクラスに来ていたんだ。今日だけ例外にしなくていいだろうに。 そうして一組までたどり着く。 ガラリと戸を開けて一組に入る。クラスメイトからはいつも通り「おはよー」と言われる。姫野もつれてきているが、姫野がついてきたと思われたのだろう。 「蓮ー!!なんで朝練来なかった!」 もはや溜まり場となっている窓際の渡来と間宮の席。そこにいつもの五人がいた。 その中から茂一人が抜けて俺の方にやってくる。 「ごめん。ちょっと」 「……蓮くん、ごめん」 「姫野が謝る必要ないから」 朝練に行けないことは前日から覚悟していた。興奮で茂に事前連絡を怠った俺が悪い。 申し訳なさそうにする姫野に笑いかける。姫野は安心したようにほんのり笑んだ。 「事前に連絡しなくて悪かっ……茂?」 姫野から視線を戻し、茂を見る。しかし茂が何とも言えない表情を浮かべていたので思わず問いかけてしまった。 「……いや、二人なんか……変わってね?」 首を傾げ、言う。 見れば後ろにいる渡来や小室、轟も同じような表情をしていた。間宮だけは何もかもわかっていたかのように微笑んでいる。 まあ、そうか。報告くらいはしておいたほうがいいだろう。 「そうだな」 「えっ……れんく……」 俺は姫野の手を恋人つなぎに絡め、みんなの方へ行く。手を凝視する友人らを前に口を開いた。 「俺たち付き合うことになった」

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